ライバーの経費は何が認められるのか|割合で分ける、という考え方
収入が出てくると、次に気になるのが経費です。「これは経費になりますか」という質問はとても多いのですが、ひとつずつ〇×で覚えようとすると、必ずどこかで詰まります。
覚えるべきなのは判定ではなく、考え方です。それが分かれば、書いていない支出も自分で判断できます。
基準は2つだけです。①配信のために使ったと説明できるか ②生活と共用なら、使った割合で分ける。この2つで、ほとんどの支出は整理できます。「全部経費にできる」も「何も経費にできない」も、どちらも間違いです。
そもそも経費を出す意味
経費は、収入から差し引ける支出です。差し引いたあとの金額が所得になり、税金の判定はこの所得で行います。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 収入 | アプリから振り込まれた金額 |
| 経費 | 配信のために使ったお金 |
| 所得 | 収入 − 経費。判定に使うのはこれ |
つまり、経費を出せるかどうかで「申告が必要かどうか」自体が変わります。振込が25万円あっても、経費を引いた所得が20万円以下なら話が変わる、ということです。基準の詳細は確定申告はいくらからにまとめました。
配信専用のものは分かりやすい
配信のためだけに買ったものは、説明が簡単です。
- マイク・照明・三脚/配信のために買ったと説明できます。
- 配信用のソフト・アプリの利用料/用途がはっきりしています。
- 配信専用に使う小物/背景、装飾など。
- 事務所に支払う手数料/差し引かれている場合、明細の見方を確認してください。
ポイントは「配信のために買った」と言える状態にしておくことです。レシートを残し、いつ何のために買ったかが分かるようにしておけば十分です。
生活と共用のものは「割合」で考える
ここがいちばん多い相談です。答えは「全部は引けないが、使った割合なら引ける」という考え方になります。
| 支出 | 考え方 |
|---|---|
| スマホ本体 | 配信に使う割合で分ける |
| 通信費 | 同上。配信時間の割合が根拠になります |
| 電気代 | 配信に使った時間・面積などで按分 |
| 家賃 | 配信専用のスペースがある場合に、その割合で |
| イヤホン | 配信専用なら全額、普段も使うなら割合で |
割合の出し方に絶対の正解はありませんが、「なぜその割合にしたか」を説明できることが大事です。「月30時間配信していて、スマホの使用時間が月100時間だから3割」——このくらいの説明ができれば十分です。
「だいたい半分くらい」では、根拠になりません。時間や回数など、数えられるもので出してください。あとで説明を求められたときに、いちばん困るのがここです。
判断が分かれるもの
当サイトでは断定しません。ただ、考え方の筋道だけ示します。
| 支出 | 論点 |
|---|---|
| 衣装・化粧品 | 配信専用と言えるか。普段も使うなら難しくなります |
| 美容院・エステ | 私的な性格が強く、説明が難しい部類です |
| 飲食代 | 企画で使ったなど、明確な理由が必要です |
| ゲームソフト | 配信で使うなら説明しやすい部類です |
| 書籍・講座 | 配信の技術に直接関係するかどうか |
迷ったときの目安は、「配信していなかったら、買っていたか」です。買っていたなら私的な支出に近く、買っていなかったなら経費として説明しやすい。ただし最終的な判断は税務署や税理士に確認してください。
記録の残し方
難しいことをする必要はありません。やることは3つだけです。
- レシートを捨てない月ごとの封筒に入れるだけで十分です。整理はあとでできますが、捨てたものは戻りません。
- 配信用の口座を分ける無料で作れます。これだけで集計が一気に楽になります。
- 買ったときにメモする「配信用マイク」とレシートに書くだけ。1年後の自分は覚えていません。
クレジットカードも配信用を分けられるなら、さらに楽になります。2月にまとめてやろうとすると、ほぼ間に合いません。
やってはいけない処理
- 生活費を全部入れる/説明できません。指摘されたときに、他の項目まで疑われます。
- 領収書を作る/論外です。
- 家族の支出を入れる/配信と関係がありません。
- 割合を毎年変える/根拠がないと、変えた理由を説明できません。
- ネットの記事だけを根拠にする/この記事も含みます。最終確認は必ず税務署か税理士で。
経費を多く入れれば税金は減りますが、指摘された場合は本来の税額に加えて加算税や延滞税がかかります。説明できる範囲に収めるほうが、結果的に安く済みます。
複数のアプリで配信している場合
経費はアプリごとに分ける必要はありません。配信という活動全体に対して使ったものとして扱えます。
- 収入は合算する/アプリごとではなく、合計で判定します。
- 経費は分けなくていい/マイクをどちらのアプリで使ったか、を区別する必要はありません。
- 明細はアプリごとに保存する/収入の内訳が分かるようにしておきます。
按分の具体例
「割合で分ける」と言われても、最初はイメージしづらいものです。考え方の例を挙げます。金額や割合を推奨するものではなく、根拠の作り方の例です。
| 支出 | 根拠にできるもの |
|---|---|
| 通信費 | 月の配信時間 ÷ 月のスマホ使用時間 |
| 電気代 | 配信に使った時間 ÷ 在宅時間、など |
| 家賃 | 配信スペースの面積 ÷ 部屋全体の面積 |
| スマホ本体 | 通信費と同じ考え方で揃える |
大事なのは「同じ考え方で毎年やること」です。年によって根拠を変えると、変えた理由の説明が必要になります。一度決めたら、それを続けるのがいちばん楽です。
収入の側も確認しておく
経費だけ整理しても、収入の把握が曖昧だと計算が合いません。
- 振込額が手取りかどうか/手数料が引かれたあとの金額なのか、引かれる前なのか。ここで数字がずれます。
- アプリ内の残高の扱い/換金していない分をどう扱うかは、状況によって判断が変わります。
- 複数アプリの合計/収入は合算して判定します。
- 年をまたぐ振込/12月分が1月に入る場合の扱いを確認してください。
最後の項目は見落とされやすい部分です。「いつの収入として扱うか」は、判定の年が変わる話なので、はっきりさせておいてください。
最初の1年でやること
- 配信用の口座を作るいちばん効きます。無料です。
- レシート用の封筒を12枚用意する月ごとに入れるだけ。整理はしません。
- 毎月、振込明細を保存するスクリーンショットで十分です。
- 年末に集計する収入と経費を合計します。ここまでやれば、判定は数分で終わります。
- 迷ったら年内に相談する申告期間の税務署は混みます。秋のうちに聞くほうが、落ち着いて話せます。
事務所に所属している場合
手数料が引かれている場合、収入と経費の見え方が変わります。明細の読み方を先に確認してください。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 振込額は手数料を引いたあとか | 収入として計上する金額が変わります |
| 手数料の明細が出るか | 経費として扱う場合の根拠になります |
| 源泉徴収されているか | 引かれている場合、申告で精算する話になります |
| 年間の支払調書は出るか | 集計が一気に楽になります |
4行目は聞いておく価値があります。出してもらえるなら、1年分の集計がそれで済みます。出ない場合は、自分で毎月保存する必要があります。
迷ったときの相談先
- 税務署/無料です。申告期間は混むので、それ以外の時期のほうが落ち着いて聞けます。
- 市区町村の窓口/住民税のことは、こちらのほうが正確です。
- 税理士/収入が大きくなってきたら検討する段階です。費用はかかります。
- 確定申告の相談会/時期になると自治体などで開催されます。
いずれの場合も、収入の明細とレシートを持っていくと話が早いです。手ぶらで行くと、結局出直すことになります。
迷った支出は「入れない」ではなく「分けて置く」
経費の判断で実際に多い失敗は、入れすぎだけではありません。迷った支出を、自分の判断で黙って外してしまうことです。
自分で×を付けたレシートは、集計にも相談にも出てこなくなります。経費として検討できたかもしれない支出が、誰の目にも触れないまま消えるということです。逆に、迷ったものを自分の判断で〇にすると、今度は説明を求められたときに困ります。つまり、迷った時点で自分の中だけで結論を出すのは、どちらに転んでも損な選び方です。迷ったら、判断そのものを税務署か税理士に回してください。そのための準備は簡単です。
- 「保留」の封筒を1枚増やす配信用と言い切れるレシートとは別に、迷ったものを入れる場所を作ります。混ぜないことがポイントです。
- 迷ったら捨てずにそこへ入れる×を付ける代わりに、判断を保留します。入れておくだけなら何の問題も起きません。
- 配信とのつながりを一言書く「企画の小道具に使った」「配信の背景に置いた」など、迷った理由が分かる程度で十分です。1年後に思い出すのは無理なので、その場で書きます。
- 相談のときにまとめて持っていく現物と一言メモがあれば、窓口での質問は短時間で済みます。答えを持ち帰れば、翌年からは自分で判断できます。
「こんな細かいことで聞いていいのか」とためらう必要はありません。窓口はそのための場所です。相談のタイミングや申告当日の流れは配信の確定申告にまとめています。
支払い方法で、記録の半分は終わる
経費の記録は、あとから頑張って作るものだと思われがちです。実際には、買う瞬間に「何で払うか」を選んだ時点で、記録の半分は終わっています。
| 支払い方法 | 記録の残り方 |
|---|---|
| 現金 | レシート以外に痕跡が残らない。なくすと後から追えない |
| クレジットカード | 日付・店名・金額が明細に自動で残る |
| 口座引き落とし | 通帳がそのまま記録になる。通信費などの固定費向き |
| コード決済・電子マネー | 履歴は残るが、さかのぼれる期間はアプリによる |
1行目だけ性質が違います。現金は、レシートをなくした瞬間に支出の手がかりがゼロになります。ほかの方法は、レシートをなくしても明細という控えが残ります。だから、配信のための買い物は現金を避けて、明細が自動で残る方法に寄せてください。ただし、明細に残るのは店名と金額までで、何を買ったかまでは分かりません。レシートを残す習慣は、そのまま続けてください。明細とレシートの両方が揃って、初めて説明できる状態になります。
あわせて、避けたほうがいい払い方も挙げておきます。
- 家族のカードや口座で払う/支払った人が違うと、自分の支出として説明しにくくなります。扱いに迷う場合は税務署に確認してください。
- ポイントやギフト券だけで払う/実際にいくら払ったのかが分かりにくくなります。使った場合は、その履歴も残してください。
- フリマアプリで記録を残さず買う/取引画面が消えると何も残りません。買うなら、取引記録を先に保存してからです。
これから機材を揃える人は、何を買うかと一緒に、どう払うかもここで決めてしまうのが早いです。買う順番は配信機材のまとめに整理しています。
よくある質問
レシートをなくしました。
クレジットカードや口座の明細が手がかりになります。ただし、レシートがあるほうが確実です。今後の分だけでも残してください。
高額な機材は一度に経費にできますか?
金額によって扱いが変わることがあります。ここは断定しません。購入前でも購入後でも構わないので、税務署に確認してください。
配信を始める前に買ったものは?
扱いが変わる場合があります。いつ買ったかが分かる記録を残したうえで、確認してください。
赤字になったらどうなりますか?
状況によって扱いが変わります。事業として行っているかどうかで判断が分かれる部分なので、税務署に相談してください。無料で相談できます。
家族に手伝ってもらった分は経費になりますか?
条件があり、単純ではありません。自己判断で処理しないでください。
経費を出すと会社にバレますか?
経費そのものが会社に伝わることはありません。会社に知られるかどうかは、住民税の徴収方法に関わる話です。仕組みは副業がバレる仕組みにまとめました。
白色と青色で違いますか?
扱いが変わる部分があります。ここは断定しません。収入が増えてきたら、税務署か税理士に相談してください。
経費が収入を上回りました。
状況によって扱いが変わります。自己判断せず、税務署に相談してください。無料です。
帳簿はつけないといけませんか?
状況によって求められる形が変わります。最低限、収入と経費が集計できる状態にはしておいてください。表計算ソフトで十分な場合もあります。
スマホを買い替えました。
配信に使う割合で考える点は同じです。金額によって扱いが変わることがあるので、税務署に確認してください。
- 基準は2つ。説明できるか/生活と共用なら割合で分ける
- 経費を出せるかで申告が必要かどうか自体が変わる
- 割合は感覚で決めない。時間や回数で根拠を作る
- 迷ったら「配信していなかったら買っていたか」で考える
- やることはレシートを捨てない・口座を分ける・買ったときにメモ
- やりすぎは高くつく。最終確認は税務署か税理士で
申告の基準は確定申告はいくらから、手順は配信の確定申告をどうぞ。なお当サイトは税務の専門機関ではありません。最終的な判断は必ず税務署か税理士にご確認ください。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
事務所選びを読む身バレ、確定申告、荒らし、続かない。配信を始めてから出てくる困りごとは、調べても答えが出ないものが多いです。
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