配信用マイクの選び方|買う前に、置き方を直したほうが早い
配信を始めると、わりと早い段階で「マイクを買ったほうがいいのかな」と考えます。答えを先に言うと、多くの場合、買う前にやることがあります。
この記事は「おすすめ製品を並べる記事」ではありません。自分が何に困っているのかを特定して、それに合う対処を選ぶための記事です。当サイトでは、実際の性能を確認できない製品名を並べることはしません。
音がよくない原因のほとんどは、①マイクが遠い ②部屋が響く ③生活音が入っているのどれかです。この3つはお金をかけずに直せます。買うのは、直したうえで足りないときです。
まず、無料でできる3つ
- マイクを口元に近づけるスマホでもイヤホンマイクでも同じです。距離が半分になるだけで、声と周囲の音の比率がはっきり変わります。これがいちばん効きます。
- 部屋の響きを減らすカーテンを閉める、布団やソファのあるほうを向く、クローゼットの前で話す。硬い壁に向かって話さないだけで、安っぽさが減ります。
- 生活音を止めるエアコン、換気扇、冷蔵庫、パソコンのファン。自分では慣れて聞こえなくなっている音が、聞く側にはずっと聞こえています。
1分でいいので録音して、イヤホンで聞いてみてください。ほぼ全員が「思っていたのと違う」と感じます。何が問題かが分かってから買うほうが、確実に安く済みます。
それでも足りないときに、何を買うか
マイクの種類は多く見えますが、配信で選ぶ軸は実質2つです。
| 種類 | 特徴 | 向いている環境 |
|---|---|---|
| ダイナミックマイク | 近くの音を拾い、周囲の音を拾いにくい | 生活音がある部屋・家族がいる家 |
| コンデンサーマイク | 感度が高く、繊細な音まで拾う | 静かな部屋・歌を配信する場合 |
| ヘッドセット型 | 口元との距離が常に一定 | ゲーム配信・動き回る場合 |
| ピンマイク(ラベリア) | 服に付ける。手がふさがらない | 作業を映す配信 |
迷ったらダイナミックです。コンデンサーは音は良いのですが、静かな環境が前提です。生活音のある部屋で使うと、「いい音で生活音まで届く」という結果になります。
接続の方式で決まること
ここを知らずに買うと、届いてから困ります。
| 方式 | 必要なもの | 注意点 |
|---|---|---|
| USB接続 | マイク本体だけ | 手軽。スマホでは変換が必要な場合があります |
| XLR接続 | マイク+オーディオインターフェース | 本格的だが、機材と配線が増えます |
| スマホ直挿し | 対応するマイク | 端子の形状を必ず確認してください |
スマホで配信するなら、そのスマホで使えるかどうかを買う前に確認してください。「パソコン用として売られていた」という理由で使えないことがあります。
マイクより先に効くもの
意外に思われますが、マイク本体より効果が大きいものがあります。
- マイクスタンド/アーム/位置が固定されると、音が安定します。手で持つと、持ち替えのたびに音量が変わります。
- ポップガード/「ぱ行」の破裂音を抑えます。安価で、効果が分かりやすい。
- 防振のマウント/机を叩く振動が入らなくなります。キーボードを使う配信では特に。
- イヤホン/自分の音を確認できることが、そもそもの前提です。Bluetoothだと音が遅れて届く仕組みと、有線が前提になる理由は配信に有線イヤホンが要る理由で説明しています。
最後の項目が抜けている人が多いです。自分の音が聞こえていない状態では、何を直せばいいかが分かりません。
買うときの失敗パターン
| 失敗 | なぜ起きるか |
|---|---|
| 高いものを買えば良くなると思う | 原因が部屋の響きなら、マイクを変えても直りません |
| コンデンサーを生活音のある部屋で使う | 感度が高いぶん、雑音まで拾います |
| スマホで使えないものを買う | 接続方式を確認していない |
| 設定をしないまま使う | 入力音量が小さすぎる/大きすぎる |
| 始める前に買い揃える | 買った段階で満足して、配信が始まりません |
最後の行は本気で多いです。スマホの内蔵マイクで10回配信するほうが、いいマイクで0回配信するより、はるかに先に進みます。
用途別の考え方
- 雑談中心/口元に近づけられるものを選ぶ。ヘッドセットでも十分です。
- 歌を配信する/静かな環境を確保できるならコンデンサー。無理ならダイナミックのほうが安定します。
- ゲーム配信/ヘッドセット型か、アームで固定するタイプ。キーボードの音を拾わない位置にしてください。
- 音声のみのアプリ/マイクの効きがいちばん大きいジャンルです。ここは投資する価値があります。
- 家族がいる家/ダイナミック一択に近いです。周囲を拾いにくいことが最優先。
設定でできること
マイクを買い替える前に、設定で直る問題がかなりあります。
| 症状 | まず見る設定 |
|---|---|
| 音が小さい | 入力音量(ゲイン)。上げすぎると雑音も一緒に上がります |
| 音が割れる | 入力音量が高すぎる。下げてから、口との距離で調整 |
| 雑音が乗る | ノイズ抑制の機能があればオンに。ただし声も痩せます |
| 声が遠い | 距離。設定では直りません |
| ハウリングする | スピーカーをやめてイヤホンにする |
ノイズ抑制は万能ではありません。強くかけるほど声が不自然になります。まず物理的に静かにして、それでも残る分だけ処理する、という順番が正解です。
環境を整える順番
- 録音して聞く1分で構いません。ここを飛ばすと、何を直せばいいか分からないまま買うことになります。
- 距離を詰める拳ひとつ分くらいまで近づけてみて、もう一度録音します。
- 向きを変える硬い壁ではなく、布や家具のあるほうを向いて録音します。
- 音源を止めるエアコン、換気扇、パソコンのファン。止めてもう一度録音します。
- ここまでで比較する4回分を聞き比べれば、自分の環境で何がいちばん効くかが分かります。
- 足りない分を機材で埋めるここで初めて買います。目的がはっきりしているので、失敗しません。
反響が大きい部屋では、どんなに良いマイクを使っても「良い音で響いた声」になります。ここを勘違いして買い替えを繰り返す人がいます。響きは、布と家具で減らすものです。
歌う場合の考え方
歌の配信をする場合、条件が変わります。話し声より広い音域を、大きな音量で扱うからです。
- 入力音量は低めに設定する/サビで割れるのがいちばん多い失敗です。いちばん大きい部分を基準に設定してください。
- マイクとの距離を一定にする/スタンドがあると安定します。手持ちは音量が揺れます。
- ポップガードを使う/破裂音が目立ちやすくなります。
- 伴奏の音量に注意する/自分の声が聞こえる範囲で。イヤホンは必須です。
- 楽曲の扱いを確認する/アプリごとにルールが違います。必ず公式の案内を読んでください。
歌を続けるなら、声そのものの使い方も関わってきます。考え方は大人と歌のカテゴリで扱っています。
買う前のチェックリスト
- 録音して原因を特定したか/距離・響き・生活音のどれか。
- 使う端末で動くか/スマホかパソコンか。端子の形状まで。
- 置く場所があるか/スタンドやアームを付けられる机か。
- 部屋の環境に合う種類か/生活音があるならダイナミック。
- イヤホンを持っているか/自分の音を確認できないと、調整ができません。
この5つに答えられる状態なら、失敗はかなり減ります。逆に、答えられないまま買うと、原因が分からないまま次を買うことになります。
自分の声とマイクの相性という考え方
同じマイクでも、使う人の声によって聞こえ方は変わります。仕様表には出てこない部分ですが、選ぶうえで無視できない要素です。
傾向として、低めの声はこもって聞こえやすく、高めの声は「サ行」の鋭さや息の音が目立ちやすいと言われます。ただし、実際の聞こえ方は声とマイクと部屋の組み合わせで決まるので、「低い声だからこの種類」とは断定できません。だからこそ、評判や仕様より、自分の耳で確かめる手順を持っておくほうが役に立ちます。
相性の芯になる「自分の声の癖」は、買う前に、いま手元にある機材でつかめます。次の録り比べをしてみてください。
- 同じ文章を録るいつもの配信と同じ声量で、30秒ほど同じ文章を読みます。比べる素材をそろえるためです。
- 距離を3段階で変える拳ひとつ・ふたつ・腕の長さ。こもりや鋭さが、距離でどう増減するかを聞きます。
- 角度をずらす口の正面からと、少し斜めから。息の音や破裂音の入り方が変わります。
- いちばん聞きやすい組み合わせをメモするここで分かった癖が、そのまま次の1本を選ぶ基準になります。
機種を選ぶ前に、自分の声を知るほうが先です。録り比べで見つけた癖は、マイクの種類や接続方式が変わっても持ち越せる知識になります。歌で使うなら、話し声と歌声で癖が違うこともあるので、歌配信のアプリで実際に流す声でも確かめてください。
買う前に、実物を試す方法
ここまで絞り込んでも、最後に「実際の音は聞いてみないと分からない」という問題が残ります。通販の説明文の印象と、自分の部屋で自分の声を通した音は、別物と考えたほうが安全です。試してから買う方法は、思っているより多くあります。
| 方法 | できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 家電量販店で試す | 実物の大きさ・重さ・操作感の確認 | 店内は自宅より騒がしく、音の細部までは分かりません |
| レンタルを使う | 自宅の環境・自分の声で数日試せる | 返却期限と、傷や汚れがついたときの扱いを先に確認 |
| 知人に借りる | 費用をかけずに試せる | 設定は自分の端末で一から作り直して試す |
| 返品条件を確認して買う | 合わなければ戻せる | 開封すると対象外になる店が多い。条件は購入前に読む |
2行目のレンタルが、配信の用途ではいちばん確実です。自分の部屋で、自分の声で、実際に配信して確かめられる方法は、借りることだけです。店頭で聞く音は参考になりますが、家で使ったときの生活音の入り方や部屋の響きまでは再現できません。
どの方法で試す場合も、見る項目は同じです。
- 自分の端末につながるか/変換や電力の問題は、実際につないで初めて分かります。方式ごとの違いはUSBとXLRの違いを参考にしてください。
- いつもの配信と同じ条件で録る/部屋・時間帯・声量をそろえないと、比較になりません。
- いま使っているものと聞き比べる/新しいほうだけ聞くと、良く聞こえがちです。並べて聞いて差が分からなければ、まだ買う段階ではありません。
よくある質問
結局いくらくらいのものを買えばいいですか?
当サイトでは金額の目安を断定しません。ただ、最初の1本は高価なものである必要はありません。置き方と部屋を直したうえで、足りない部分を埋める発想で選んでください。
スマホの内蔵マイクではダメですか?
ダメではありません。口元に近づけて、静かな部屋で使えば、十分に聞ける音になります。まずそこから始めて構いません。
イヤホンマイクはどうですか?
距離が一定になるので、内蔵マイクより安定しやすいです。コードが服にこすれる音だけ注意してください。
音が小さいと言われます。
まず入力音量の設定を確認してください。それでも小さい場合は、マイクとの距離が原因のことが多いです。声を大きくするのは最後の手段です。喉が保ちません。
エコーがかかったようになります。
部屋の反響か、スピーカーの音をマイクが拾っています。イヤホンを使い、布のある方向を向いてください。
機材を一式そろえたいのですが。
おすすめしません。順番に足すほうが失敗しません。全体像は配信機材まとめにあります。
中古で買っても大丈夫ですか?
動作の確認ができるなら選択肢になります。ただし初めての1本は、状態の判断が難しいので、新品のほうが原因の切り分けが楽です。
マイクを変えたのに良くなりません。
原因が部屋の響きか生活音だった可能性が高いです。もう一度、録音して聞き比べてください。買い替えを繰り返す前に、環境を疑うほうが早いです。
配信中に音量の調整はできますか?
アプリによります。配信前に確認しておいてください。本番中に設定を探すと、その時間がそのまま無言になります。
パソコンとスマホ、どちらで配信するのがいいですか?
アプリによります。スマホ専用のアプリも多いので、使う予定のアプリの対応を先に確認してください。マイクの選択肢は、それによって変わります。
- 音の問題は距離・響き・生活音のどれか。まず無料で直す
- 買う前に1分録音してイヤホンで聞く。原因が分かってから買う
- 生活音のある部屋ならダイナミック。静かな部屋ならコンデンサー
- 接続方式を確認する。スマホで使えるかは買う前に
- マイク本体よりスタンドとイヤホンのほうが効くことがある
- 買い揃えてから始めない。スマホで10回配信するほうが先に進む
機材全体の考え方は配信機材まとめ、音声中心のアプリについてはSpoonとはをどうぞ。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
事務所選びを読む身バレ、確定申告、荒らし、続かない。配信を始めてから出てくる困りごとは、調べても答えが出ないものが多いです。
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