ライブ配信の荒らし対策|その場で使える手順と、事前に決めておくこと
荒らしは、配信を続けていればいつか来ます。来るかどうかではなく、来たときにどう処理するかの問題です。
厄介なのは、その場の判断が難しいことです。配信中は考える時間がありません。だから事前に手順を決めておくことが、そのまま対策になります。
原則は3つだけです。①反応しない ②ブロックする ③記録を残す。この順番で、機械的に処理してください。その場で考えないことが、いちばんの対策です。
荒らしとアンチは分けて考える
混同すると対応を間違えます。目的が違うからです。
| 荒らし | アンチ | |
|---|---|---|
| 目的 | 場を壊すこと・反応を引き出すこと | あなたに否定的な感情を持っている |
| 特徴 | 関係のない書き込み、連投、複数アカウント | 内容に踏み込んでくる。継続的 |
| 対応 | 即ブロック。会話しない | 距離を取る。長期戦になりやすい |
この記事は荒らし(左)を扱います。継続的なアンチへの対処はアンチ対策にまとめました。荒らしに時間をかける必要はまったくありません。
その場の手順
- 読まない・触れないコメントを読み上げない。反論もしない。荒らしの目的は反応そのものなので、反応した時点で相手の勝ちです。
- そのままブロックする警告は不要です。「やめてください」と言う必要もありません。言うほど長引きます。
- スクリーンショットを撮るブロックする前に撮っておくと、あとで運営に報告できます。ひどい内容なら特に。
- 配信は止めない止めると「効いた」と伝わります。何事もなかったように続けてください。
- 他のリスナーに説明しない「今の人ひどいですよね」と言うと、話題が荒らしのものになります。触れないのがいちばん早く終わります。
言い返すことです。正論であっても同じで、会話が成立した時点で、相手は目的を達成しています。相手は議論をしに来ているわけではありません。
事前に決めておくこと
配信中は判断力が落ちます。だから、静かなときに決めておいてください。
- ブロックの基準/「3回連続で関係ない書き込み」など、自分なりの線を1つ。迷わないための線であって、厳密である必要はありません。
- 言い訳をしないと決める/ブロックに理由を説明しない。説明すると、それ自体が反応になります。
- コメント制限の使い方/アプリに機能があるなら、使い方を先に確認しておく。荒れてから探すと間に合いません。
- 助けてくれる人を作らない/リスナーに戦わせないでください。巻き込むと、その人が標的になります。
- ひどい日は閉じる/逃げではありません。その日の配信を切り上げる選択肢を持っておいてください。
リスナーへの伝え方
常連がいる場合、事前に方針を共有しておくと、当日が楽になります。ただし言い方が大事です。
| 言い方 | 結果 |
|---|---|
| 「変な人が来たら無視してください」 | ◯ これで十分伝わります |
| 「見つけたら教えてください」 | △ リスナーが監視役になってしまいます |
| 「一緒に言い返しましょう」 | × 場が荒れ、リスナーも標的になります |
ポイントは「配信者が処理するので、リスナーは何もしなくていい」と伝えることです。優しい人ほど守ろうとしてくれますが、それが荒れる原因になります。
複数アカウントで来る場合
ブロックしても別のアカウントで戻ってくる、というパターンがあります。ここまで来ると、その場の対応だけでは足りません。
- 記録を続ける日時、アカウント名、内容。スクリーンショットを日付が分かる形で保存します。
- 運営に報告するアプリの通報機能を使います。1回で終わらなくても、記録が積み上がることに意味があります。
- 配信の時間帯を変えてみる相手も生活があります。時間をずらすだけで来なくなることがあります。
- 事務所に所属しているなら共有するひとりで抱えない。これは事務所に入る数少ない実利のひとつです。
- 脅迫や名誉毀損に踏み込んだら相談する警察や弁護士など、外部の窓口に。「配信の世界のこと」と考えないでください。
住所や勤務先に言及される、危害を示唆される、家族に触れる。この段階は配信のトラブルではなく、事件として扱う話です。記録を持って、外部の窓口に相談してください。
メンタルの守り方
手順どおりに処理できても、気分は落ちます。それは弱さではなく、普通の反応です。
- 配信後に読み返さない/終わったあとにコメントを見返して落ち込む人が多いです。見ないでください。
- 1件と全体を分けて考える/荒らし1人と、来てくれている10人は別の話です。比重を間違えると、続きません。
- 翌日も同じ時間に開く/間を空けるほど戻りにくくなります。短くていいので開いてください。
- それでもつらければ休む/休むのは正当な判断です。配信がしんどくなる仕組みを参照してください。
アプリの機能を先に確認しておく
荒れてから設定を探すと、その時間がそのまま被害になります。静かなうちに、どこに何があるかだけ見ておいてください。
| 確認しておく機能 | 何のために |
|---|---|
| ブロック | 個別に遮断する。いちばん使う機能です |
| コメントの制限 | 新規アカウントからの書き込みを制限できる場合があります |
| 通報 | 運営に記録を残す。証拠は先に保存しておきます |
| モデレーター指定 | アプリによっては、対応を任せられる仕組みがあります |
| 配信の公開範囲 | 荒れた時期だけ範囲を絞る、という運用もできます |
4行目は使い方に注意が必要です。信頼できる人にだけ任せてください。関係が近すぎる人に権限を渡すと、あとで揉めたときに面倒になります。
荒らしが来やすくなる条件
完全には避けられませんが、確率は下げられます。原因の多くは、配信者側の何気ない行動です。
- 過去に反応したことがある/一度でも会話が成立すると、「反応する人」として扱われます。
- 他の配信者や場の批判をしている/持ち込まれる形で荒れます。
- 特定のリスナーとの関係が濃く見える/嫉妬から標的にされることがあります。
- 炎上している話題に触れている/その話題の外から人が来ます。
- 感情が動いたのが分かりやすい/狙われる理由になります。
最後の項目は難しいところで、感情を出さないほうがいい、という意味ではありません。荒らしに対してだけ、反応が読み取れないようにする、ということです。
実際にあった流れを、時系列で
典型的な形を並べます。どこで止められるかを見てください。
- 関係のないコメントが1つ入るここで読み上げなければ、ほぼ終わります。止めるならここです。
- 配信者が「どういう意味ですか?」と返す会話が成立しました。この時点で相手の目的は達成されています。
- 連投が始まる常連が反論を始め、コメント欄が荒らしの話題で埋まります。
- 配信者が謝る・説明する場の空気が完全に変わります。ここまで来ると、その日の配信は戻りません。
- 翌日から配信が怖くなるいちばん避けたい結末です。
2段目以降は、どう対応してもコストがかかります。だからこそ「読まない・触れない」を機械的にやる価値があります。その場の判断に任せると、必ず2段目に進みます。
配信を再開するとき
ひどく荒れた翌日は、開くのが怖くなります。ここで間を空けると、戻るハードルが上がり続けます。
- 短くていいので開く30分で構いません。開いたという事実だけが必要です。
- 前日の件に触れない説明も謝罪も不要です。触れると、また話題になります。
- いつもの話をする普段どおりが、いちばん強い立て直し方です。
- それでも無理なら休む期間を決めて休んでください。配信がしんどいときに手順をまとめました。
モデレーターに頼むときは、判断ではなく手順を渡す
任せられる機能があるアプリでは、誰に任せるかと同じくらい、頼み方が結果を分けます。「荒らしが来たらお願いします」とだけ伝えるのは、実は何も頼んでいないのと同じです。何をどこまでやっていいか分からないまま権限だけ持たされると、モデレーターは自分の感覚で動くしかありません。良かれと思って荒らしに注意し、会話が始まり、その人が標的になる。任せ方の失敗は、だいたいこの形です。
渡すものは権限ではなく、手順です。伝えることは4つあります。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 消していい基準 | 「関係ない連投と暴言は、黙って削除とブロック」 |
| 迷ったときの扱い | 「迷ったら何もしない。あとで教えてくれれば私がやります」 |
| やらないでほしいこと | 「注意・説得・言い返し。相手と会話をしない」 |
| 報告のやり方 | 「コメント欄で報告しない。配信が終わってから個別に」 |
2行目まで渡している人は、ほとんどいません。「迷ったら何もしない」を先に渡しておくと、モデレーターは間違いを恐れずに引き受けられます。グレーな書き込みをどう扱うかという、いちばん重い判断まで背負わせないでください。それは配信者の仕事です。
もうひとつ、任せる範囲は荒らしまでにしてください。同じ相手が何週間も続くアンチへの対応は長期戦で、記録や相談の判断が絡みます。そこまで任せると、引き受けてくれた人が先に消耗します。
荒らしが去ったあとの数分間
ブロックして書き込みが止まっても、それで元どおりにはなりません。コメント欄が静まり、残った人がこちらの様子をうかがっている数分間があります。起きたことに触れない、という原則はすでに書きました。ここで問題になるのは、触れずに何を話すかです。空白を埋める中身を持っていないと、沈黙が続いて場が冷えます。
- 中断した話の続きから入る「で、さっきの話なんですけど」。この一言が、場に「終わった」と伝えます。新しい話題を探すより、続きに戻るほうが簡単で自然です。
- 声の調子を変えない沈んだ声も、無理に明るくした声も、取り繕っているのが伝わります。普段の速さと普段の音量に戻すことだけ意識してください。
- 名前をひとつ呼ぶ残ってくれている人に「◯◯さん、いてくれてありがとうございます」。コメントが再開するきっかけは、配信者のほうから最初のひとりに声をかけることです。待っているだけでは、静けさは続きます。
- 戻り用の話題をひとつ決めておく続きに戻れない日のために、いつでも話せる定番をひとつ用意しておきます。中身は何でも構いません。あると分かっているだけで、慌てずに済みます。
その場に初めての人が居合わせていた場合も、やることは変わりません。事情を知らない人の印象に残るのは、荒れた場面そのものより、そのあとの立て直し方です。淡々と戻る配信は、初めての人にとってむしろ安心材料になります。入ってきた人への向き合い方は初見さんへの対応にまとめました。
そして、平気な顔で場を戻した日は、配信を切ってからどっと疲れが出ます。数分間ずっと平常を演じていたのだから、当然の反応です。この疲れが数日続くようなら、配信で削られる仕組みも読んでみてください。
よくある質問
ブロックすると逆恨みされませんか?
その心配で放置するほうが危険です。反応しないことが目的なので、ブロックはむしろ関わりを断つ手段です。遠慮する必要はありません。
「なぜブロックしたのか」と聞かれたら?
答える義務はありません。説明しないと決めておくのがいちばん楽です。
冗談のつもりのコメントか判断できません。
判断しなくて構いません。不快に感じたら、それが基準です。他人の意図を推測する義務はありません。
常連が代わりに言い返してくれます。
ありがたい気持ちは分かりますが、止めてください。その人が次の標的になります。「自分が処理するので大丈夫です」と伝えるのが親切です。
通報しても何も起きません。
1件では動かないこともあります。記録を続けることに意味があります。並行して、時間帯の変更など自分でできる対策を取ってください。
配信をやめたほうがいいでしょうか。
やめる前に、時間帯を変える・頻度を落とす・休むという選択肢があります。いちばんつらいときに、いちばん大きい決断をしないでください。
録画が残る配信でも同じ対応でいいですか?
同じです。むしろ録画が残るぶん、言い返した内容も残ります。反応しないほうが、あとから見返されたときにも問題になりません。
荒らしの内容が事実に近いことを含んでいます。
それでも対応は変わりません。その場で釈明すると、話題として定着します。必要なら配信外で、記録を持って相談してください。
未成年ですが、親に知られたくありません。
それでも、ひとりで抱えないでください。学校の相談窓口や、公的な相談機関も利用できます。危害を示唆されている場合は、警察への相談を優先してください。
- 原則は①反応しない ②ブロックする ③記録を残す。その場で考えない
- 荒らしとアンチは目的が違う。荒らしに時間をかける必要はない
- 警告も説明も不要。言い返した時点で相手の目的は達成される
- リスナーに戦わせない。巻き込むと、その人が標的になる
- 複数アカウントで来る場合は記録+通報+時間帯の変更
- 住所・勤務先・危害に踏み込んだら、外部の窓口に相談する
継続的なアンチへの対処はアンチ対策、身元を守る具体策は身バレ対策をどうぞ。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
事務所選びを読む身バレ、確定申告、荒らし、続かない。配信を始めてから出てくる困りごとは、調べても答えが出ないものが多いです。
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