ライバーが病むのはなぜか|数字・比較・距離感、3つの原因と離れ方
ライブ配信を続けていると、多くの人がどこかでしんどくなります。これは弱いからでも、向いていないからでもありません。仕組みとしてそうなりやすい活動だからです。
原因が分かれば、対処もできます。ここでは3つに分けて整理します。
なぜライブ配信は削られやすいのか
他の仕事や趣味と比べたときの違いを挙げると、はっきりします。
| 特徴 | 何が起きるか |
|---|---|
| 結果が数字で毎日出る | 良し悪しが常に可視化される |
| 他人の数字も見える | 比較が避けられない |
| 評価されるのが「自分自身」 | 作品ではなく人格が対象に感じられる |
| 相手との距離が近い | 関係が深くなり、重くもなる |
| 休むと数字が落ちる | 休みにくい |
3行目がとくに大きいです。動画や文章なら「作ったものが評価された」と思えますが、ライブ配信は自分がそのまま出ているので、反応を人格への評価として受け取りやすくなります。
原因1:数字を見すぎる
視聴者数、ランク、ギフト、フォロワー。毎日見られてしまうことが問題です。
数字は短期的には揺れます。曜日、天気、他の配信者の動き、季節。自分の努力とは関係のない理由で上下します。それを毎日見ていると、実力とは無関係の揺れに感情が振り回されます。
やること
- 数字を見る日を決める/週1回にする。毎日見ても、できることは変わりません。
- 見るなら期間で見る/1日ではなく1ヶ月。短い区切りほど揺れが大きく見えます。
- 配信直後に見ない/いちばん感情が動いている時間です。翌日にします。
- 自分でコントロールできる数字だけ追う/視聴者数ではなく「決めた回数を配信できたか」。これは自分で100%決められます。
原因2:他人と比べる
同じ時期に始めた人が伸びている。後から始めた人に抜かれた。こうした場面は必ず来ます。
ただ、比べている条件が違います。
| 見えていること | 見えていないこと |
|---|---|
| 視聴者数・ランク | その人が使える時間の量 |
| 盛り上がっている配信 | そこに至るまでの期間 |
| 常連さんの多さ | 元々持っていた繋がり |
| 楽しそうな様子 | その人も同じように悩んでいること |
ライブ配信は生活の余裕がそのまま結果に出る活動です。毎日3時間取れる人と、週2回1時間の人を同じ土俵で比べても意味がありません。
やること
- 比べる相手を「先月の自分」にする/条件が同じ唯一の相手です。
- 参考にする人を1人に絞る/全員を見ると落ち込みます。やり方だけ参考にする相手を1人決めます。
- ランキングを見る時間を決める/落ち込んでいる日は見ない、と決めておきます。
- 自分の条件を書き出す/取れる時間、生活、体力。条件を言葉にすると、比べる無意味さが実感できます。
原因3:リスナーとの距離が近すぎる
これがいちばん語られないのに、実際にはいちばん重い原因です。
応援してくれる人ができるのは嬉しいことですが、関係が深くなるほど責任も生まれます。
- 休むと申し訳なく感じる/待っている人がいると思うと、体調が悪くても配信してしまいます。
- 誰かが来ないと気になる/来なくなった人のことを考えてしまいます。
- 期待に応えようとしすぎる/求められている自分を演じ続けることになります。
- 相手の重い話を受け止めてしまう/配信者はカウンセラーではありません。
- ギフトをもらうと断りにくくなる/お金が絡むと、関係の対等さが崩れます。
やること
- 個別のやり取りに線を引く/DMは返さない、と決めても構いません。決めておけば、その都度悩まずに済みます。
- 「配信の中だけの関係」と最初に言っておく/後から言うと角が立ちます。平常時に軽く。
- 重い相談は受け止めない/聞くことはできても、責任は負えません。専門の窓口を案内するほうが誠実です。
- 休むことを事前に伝える/黙って消えるより、「来週は休みます」と言うほうが、お互い楽です。
あなたが休んでも、待っている人は待っています。離れる人は、休まなくても遅かれ早かれ離れます。休むことで失うものは、思っているよりずっと少ないです。
始める前に決めておくと楽になること
ここまで読んで「まだ始めていない」という方は、先に決めておくだけで、かなり防げます。
- やめる条件を先に決めておく「3ヶ月やって楽しくなかったらやめる」でも構いません。やめる基準があると、続けることが義務でなくなります。逆に決めていないと、ずるずる続けて消耗します。
- 目標を「回数」にする視聴者数もギフトも、自分では決められません。決められるのは配信した回数だけです。ここを目標にすると、達成できる日が増えます。
- 休む日をあらかじめ入れる週に何回やるかを決めるとき、休む日も一緒に決めます。休むことが計画の一部になっていれば、罪悪感が消えます。
- 誰に話すかを決めておくしんどくなったときに話す相手を、元気なうちに決めておきます。渦中では、相手を探す気力もなくなります。
この4つは、始めてからでも設定し直せます。いま苦しいなら、ここから組み直してみてください。
限界が近いサイン
自分では気づきにくいので、目安を書いておきます。次のどれかに当てはまるなら、いったん止めてください。
- 配信の前に気が重い/楽しみでなくなったら、危険信号です。
- 終わったあと落ち込む/うまくできなかった、と毎回思うようになったら。
- 数字を見るのが怖い/見ないほうが楽になっている状態です。
- 他の配信者を見ると苦しい/参考にするどころか、傷つくようになっているとき。
- 眠れない・食べられない/ここまで来たら、配信の問題ではありません。
最後の項目に当てはまる場合は、休むだけでなく医療機関に相談してください。配信は、健康と引き換えにするものではありません。
休むときの伝え方
- 理由は詳しく話さなくていい「少し休みます」で十分です。体調や事情を説明する義務はありません。
- 戻る時期は言わなくていい「◯日に戻ります」と言うと、それが自分を縛ります。「落ち着いたらまた」で構いません。
- 配信中でなく、文章で伝えるプロフィールやSNSで一言。配信中に言うと、その場で反応を受け止めることになります。
- その間、アプリを開かないいちばん大事です。休んでいる間に他の人の配信を見ると、休んだことになりません。
戻ってきたときのこと
休んだあと、戻るのが怖くなる人がいます。ここも先に知っておくと楽です。
- 説明しなくていい/「久しぶりです」だけで十分です。休んだ理由を話す義務はありません。
- 人数は落ちている前提で/休めば数字は落ちます。それは失敗ではなく、当たり前の結果です。戻ってすぐ元通りにはなりません。
- 短い配信から戻る/いきなり以前と同じ長さでやると、また削られます。30分から。
- 待っていた人がいることに驚く/実際に戻ると、思ったより多くの人が残っています。これは休んだ人がよく言うことです。
そして、戻らないという選択もあります。数ヶ月やってみて自分に合わなかった、というのは十分な結論です。合わないことが分かったのは、やってみたからです。
ひとりで抱えないために
ここまで対処法を書いてきましたが、すべてに共通する前提があります。ひとりだと、これらの判断がとても難しいということです。
数字が落ちているとき、比べて落ち込んでいるとき、距離が近すぎるとき。渦中にいる本人には、それが問題だと気づけません。
- 配信者仲間を1人でも作る/同じ経験をしている相手は、状況を説明しなくても分かります。
- 配信と関係のない人にも話す/外から見た意見は、視野を戻してくれます。
- 相談先を持つ/事務所に所属している場合は、そこも選択肢です。
事務所の価値は収入ではなく「続けられること」だと書いてきましたが、その中身の多くは、実はこの部分です。判断の材料は事務所のメリットにまとめています。
周りの人ができること
この記事を、配信者本人ではなく、近くにいる人が読んでいる場合もあると思います。できることを書いておきます。
- 数字の話をしない/「今日は何人来たの」は、悪気がなくても本人を数字に縛ります。
- 他の配信者と比べない/励ますつもりの比較が、いちばん刺さります。
- 休むことを肯定する/「休んだら」の一言を、本人は自分では言えません。
- 配信以外の話をする/配信の外に居場所があると分かるだけで、抱え込みにくくなります。
とくに最後です。配信がすべてになっている状態がいちばん危険なので、関係のない話ができる相手の存在そのものが支えになります。
よくある質問
やめたほうがいいのでしょうか。
やめるのも、休むのも、正しい選択です。ただしんどい状態で決めないでください。まず数日休んで、そのうえで考えるほうが後悔しません。
休むと常連さんが離れませんか?
数日で離れる人は、休まなくても離れます。逆に、待っていてくれる人は待っています。壊れてから休むほうが、戻るのが難しくなります。
数字が気になって仕方がありません。
見る日を週1回に決めてください。それでも見てしまうなら、アプリの通知を切る、ホーム画面から外すなど、物理的に見にくくするのが効きます。
リスナーの重い相談を断れません。
断って構いません。「私では受け止めきれないので」と伝えるのは、冷たいことではありません。専門の窓口を案内するほうが、その人のためにもなります。
楽しかったのに、いつからか義務になっています。
よくあることです。多くは数字を目標にした時点で起きます。いったん数字を見るのをやめて、始めたときに楽しかったことを思い出してみてください。
アンチのせいでしんどいです。
それは別の問題として対処できます。アンチ対策に、証拠の残し方から相談すべき段階までまとめています。
- 削られやすいのは仕組みのせい。弱いからではない
- 原因は3つ:数字を見すぎる/他人と比べる/距離が近すぎる
- 数字は週1回だけ見る。追うなら「決めた回数を配信できたか」
- 比べる相手は先月の自分。条件が同じ唯一の相手
- 個別のやり取りに線を引く。重い相談は受け止めない
- 休むときは理由も戻る時期も言わなくていい。アプリを開かない
- 眠れない・食べられない段階なら、配信の問題ではない。医療機関へ
アンチへの対処はこちら、続けやすさで事務所を考えるなら事務所に入るべきかもどうぞ。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
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