ライバー事務所の選び方は?契約前に書面で確かめる6つのこと
この記事の内容(12項目)
募集ページの「還元率」「ノルマなし」「費用ゼロ」は、並べても比べられません。何に対しての数字なのか、どこまでが「なし」なのかが書かれていないからです。比べるのは、契約前に書面でもらえる答えです。下の6項目を全社に同じ形で聞き、書面で答えを出せない事務所は候補から外します。
契約前に、書面で確かめる6項目
| 確かめる項目 | 書面で出してもらうこと | なぜ確かめるか |
|---|---|---|
| 1. 取り分の計算の仕方 | 何から・いつ引くか。明細が出るか | 同じ割合でも、引く前の金額が違えば手取りが変わる |
| 2. 契約期間と自動更新 | 期間、更新の有無、更新しない申し出の期限 | 期限を過ぎると、同じ期間がもう一度始まることがある |
| 3. 途中でやめるときの費用 | 違約金の有無と額、申し出から完了までの日数 | 入るときには見えず、やめるときに初めて効く |
| 4. アカウントは誰のものか | 配信アカウントと配信名を、やめたあとも使えるか | 積み上げたフォロワーと名前が、退所と一緒に離れることがある |
| 5. 専属かどうか | 他アプリ・他事務所・個人の仕事のどれを縛るか | 「専属」に決まった定義がなく、範囲が事務所ごとに違う |
| 6. 支払日と支払い方法 | 締め日と支払日、振込先、給与か業務委託か | 給与か業務委託かで、税金の扱いと申告のしかたが変わる |
1行目と4行目は、口頭で聞くと答えがぼやけやすい項目です。「書面かメッセージでいただけますか」と頼んで、文字で受け取ってください。この6つを書面で出せない事務所は、その時点で比べる対象から外して構いません。以下、項目ごとに聞き方を書きます。
事務所の公式サイトには、この6項目がどれだけ書いてあるか
2026年10月31日に、ライバー事務所37社の公式サイトを開き、本文を読めた27社について、上の6項目と、よく見る条件が書いてあるかを数えました。事務所ごとの記載と原文はライバー事務所27社の契約条件一覧に載せています。
| 書いてあるか調べた項目 | 27社のうち書いてあった社 |
|---|---|
| 配信アカウントは誰のものか(退所後に使えるか) | 0社 |
| 給与か業務委託か | 1社 |
| 支払日 | 1社 |
| 契約期間 | 2社(自動更新について書いた社は0社) |
| 途中でやめるときの費用 | 5社(どれも「かからない」という記載) |
| 取り分の数字 | 8社(どれも「100%」の表記。何に対する率かまで書いていたのは1社) |
| 年齢の条件 | 11社 |
| ノルマの有無 | 13社 |
調べ方:各社の公式サイトの会社概要・募集ページ・よくある質問の本文。画像や公式LINEだけで案内している内容は数えていません(2026年10月31日確認)。
公式サイトによく書いてあるのは、ノルマと年齢の条件です。上の6項目のうち、配信アカウントの持ち主と、給与か業務委託かは、ほぼどこにも書かれていません。サイトを読んで分かる項目ではないので、面談で聞き、答えを書面でもらってください。
1. 取り分は「何から・いつ・明細は出るか」で聞く
事務所の取り分の割合は、同じ数字でも中身が違うことがあります。割合の高い低いを考える前に、次の3つを聞いてください。
- 何から引かれるかギフトだけか、時間に応じた報酬やイベントの報酬も対象か。「すべての報酬で同じですか」と聞けば一度で確かめられます。
- いつ引かれるか毎月の支払いのときか、換金のときか。支払いの周期とセットで聞きます。
- 明細は出るか報酬額・差し引かれた額・振込額が、毎月書面かデータで分かるか。3つのうち、ここが答えられない事務所には、お金の流れを任せられません。
同じ割合でも、次の点が違えば手取りは別のものになります。
| 確かめる点 | パターンA | パターンB |
|---|---|---|
| 何から引かれるか | アプリが払う前の金額から | 本人が受け取る段階の金額から |
| 経費を誰が持つか | 事務所が負担 | 本人の報酬から差し引き |
| イベント・企画のとき | 通常と同じ扱い | 別の条件 |
1行目は「何%ですか」だけ聞いても分かりません。引かれる前の金額がどこにあるかで、同じ割合の意味が変わります。
取り分の手前には、アプリ側の換金条件があります。こちらは公式に数字が書かれているアプリがあります。
| アプリ | 換金レート | 手数料 | 最低換金額 |
|---|---|---|---|
| Pococha | 1ダイヤ=1円(税込) | 銀行は0円/ドットマネー経由は3% | 5,000ダイヤ |
| 17LIVE | 1ポイント=1円相当 | 認証ライバーは月の初回出金時に300円(11月1日から200円) | 1,000円 |
| IRIAM | 1ダイヤ=1円 | 公式に記載なし | 500ダイヤ |
| ふわっち | 1pt=1円 | 現金振込の手数料は公式に記載なし | 現金は30,000pt |
出典:Pococha/17LIVE/IRIAM/ふわっち(2026年10月19日確認)
2列目は、アプリが配信者に払うときの値段です。事務所の取り分が、この値段からさらに引かれるのか、別の段階で引かれるのかを面談で確かめてください。Pocochaは公式ヘルプで、事務所所属のライバーは自分で換金できないとしています。所属すると、手取りはこの表ではなく事務所との契約で決まります。面談では「アプリから事務所に入る額」と「事務所から自分に入る額」を分けて聞くと、話が混ざりません。ほかのアプリの数字は配信アプリの換金率・手数料の公式表記一覧にあります。
「手数料0%」「全額還元」は、収益源を聞く
事務所の収入には、アプリの運営会社から事務所に払われる報酬と、本人の報酬から引く取り分の2つがあります。前者がある場合、本人から引かなくても成り立つ設計はありえます。
| 収入源 | 誰が払うか | 本人の取り分への影響 |
|---|---|---|
| 運営から事務所への報酬 | アプリの運営会社 | 減らない |
| 事務所が設定する取り分 | 配信者本人 | 減る |
そこで聞くのは、安さそのものではなく理由です。「私の報酬から引かないなら、御社は何で収益を上げていますか」。運営からの報酬で成り立っていると答えられるなら、筋は通っています。収益源を説明しないまま安さだけを強調する相手は、別の名目で回収する設計になっていないかを、書面の費用の欄で確かめてください。「全額還元」が何に対しての数字かを確かめる質問は100%還元のからくりにあります。
2・3. 期間・更新・やめるときの費用は、条文で読む
やめ方を最初に聞くのは失礼ではありません。やめ方を説明できる相手は、やめる人がいる前提で運営できています。聞くのは次の4つです。
- 契約期間/何ヶ月か。途中でやめられるか。
- 自動更新/何もしなければ同じ期間が続くのか。更新しないときは、いつまでに・誰に・どうやって伝えるのか。
- 違約金/定めがあるか。あるなら、どういう場合に、いくらか。
- 精算の順番/やめるとき、所属中に貯まった報酬をいつ・誰が・どう払うのか。
違約金の額が妥当かどうかを、その場で自分で判断する必要はありません。書面を持ち帰り、納得できなければ署名の前に消費生活センターに相談できます。条文のどこを読むかは契約書チェックの8項目に、やめるときの流れはライバー事務所をやめる手順にあります。
4・5. アカウントの持ち主と専属の範囲は、場面で聞く
「専属ですか」「アカウントはどうなりますか」と抽象的に聞くと、抽象的な答えが返ってきます。場面に置き換えて聞きます。
- 「やめたあと、いまの配信名とアカウントをそのまま使えますか」/事務所経由で作ったアカウントかどうかで答えが変わることがあります。
- 「別のアプリでも配信したくなったら、できますか」/専属が他アプリでの配信を縛るかどうか。
- 「知人からイベントの仕事を頼まれたら、自分で受けられますか」/専属が配信以外の活動まで縛るかどうか。
- 「やめたあと、別の事務所に入るまでに空ける期間はありますか」/退所後の制限があるかどうか。
答えは口頭で終わらせず、文面でもらいます。「専属」が縛りうる範囲と、その見返りの比べ方は「専属」とは何を縛る言葉かにあります。
ここまで読んで、自分のケースが判断できないと感じたら、LINEで聞いてください。
LINEで相談する6. 支払日と、給与か業務委託かを確かめる
締め日と支払日が分かれば、最初の報酬がいつ入るか、やめたときの最後の報酬がいつ入るかが読めます。振込先が本人名義の口座か、手数料を誰が持つかもここで聞きます。
もう一つ、支払いが給与なのか、業務委託の報酬なのかを確かめてください。どちらかで、源泉徴収のされ方と、確定申告のしかたが変わります。書面に書かれていなければ、「お支払いは給与と業務委託のどちらの扱いですか」と聞きます。申告が要るかどうかの基準はライバーの確定申告に、経費の考え方はライバーの経費にあります。個別の扱いは税務署で確かめられます。
書面以外で、面談で聞いておくこと
書面に載りにくいけれど、入ってからの日々を左右することがあります。
- 誰が、どのくらいの頻度で、何をしてくれるか/「サポートします」だけでは分かりません。担当者が何人を見ているかも聞きます。
- 連絡手段と、返事が来るまでの目安/窓口が担当者の個人アカウント1つだけだと、その人が辞めたときに連絡が途切れます。
- ノルマの実態/「ノルマなし」と言われたら、「何を、どれくらいやると、どう変わりますか」と聞きます。
- 所属している人が、いま配信しているか/公式サイトに載っている所属者を、アプリ内で何人か検索します。更新が止まっていれば、その一覧は過去のものです。
- どういう人には向いていないか/具体的に答えられる事務所は、自分たちのことを分かっています。
その場で断っていいサイン
- 初期費用・登録料・研修費・機材代を請求される/事務所の収入は配信から生まれる仕組みなので、加入者から先にお金を取る理由がありません。
- 「絶対に稼げる」と言い切る/配信の収入は約束できるものではありません。
- 書面を見せない、その場で署名を求める/持ち帰って読む時間をくれない相手とは契約しません。
- やめる条件の話をはぐらかす/入口だけ親切な相手は、出口で困ります。
- 「詳しくは加入後に」と答える/判断材料を渡さないまま決めさせようとしています。
- 名乗っている会社を確かめられない/スカウトで来た相手の確かめ方はスカウトDMの見分け方にあります。
面談の答えは、同じ表に書いて比べる
2〜3社と話すと、あとで記憶が混ざります。面談の前に、スマホのメモ帳に上の6項目と次の欄を作っておき、全社を同じ表に書きます。
| メモする欄 | 書き方 |
|---|---|
| 6項目の答え | 要約せず、言われたとおりの言葉で書く |
| 答えてもらえなかった質問 | 「はぐらかされた」「後日回答」もそのまま書く |
| 気になった一言 | 良い意味でも悪い意味でも、原文のまま |
| 終わった直後の印象 | 面談後5分以内に書く |
効くのは2行目以降です。条件はあとからメールで確かめ直せますが、はぐらかされた感触と直後の印象は、その日のうちに薄れます。答えが曖昧だったなら「曖昧だった」と書く。それがそのまま比べる材料になります。
悪質ではないけれど、自分には合わない事務所
説明が丁寧で何も怪しくない事務所でも、合わないことはあります。悪質かどうかと、合うかどうかは別の判定です。
- イベント参加が活動の中心/盛り上がりの中で伸びたい人には合い、淡々と続けたい人には誘いそのものが負担になります。
- 連絡がまめ/声をかけてほしい人には心強く、放っておいてほしい人には重くなります。
- 力を入れているアプリやジャンルが違う/歌に強い事務所と、雑談で続けたい自分。このずれは入ってからでは埋まりません。
確かめるなら、所属している人の配信を1〜2本、最後まで見てください。その空気の中に自分が混ざる姿を想像できなければ、条件が良くても続きません。「良い事務所。ただし自分の形とは違う」で、断る理由としては足ります。そもそも入るかどうかで迷っているなら、ライバー事務所に入るべきかが先です。
よくある質問
事務所の手数料の相場は、何%くらいですか?
事務所の取り分は契約ごとに決まっていて、公開されていないこともあり、確かめられる相場はありません。比べるときは、割合と一緒に「何から・いつ引かれるか」「明細が出るか」を書面でもらい、同じ表に並べてください。
手数料0%と言われました。
運営から事務所への報酬で成り立つ設計はありえます。「何に対して0%か」と「収益源は何か」を聞き、書面の費用の欄に別の名目の請求がないかを確かめてください。
大手と小さい事務所は、どちらがいいですか?
規模では決まりません。6項目を書面で出せるか、聞いたことに具体的に答えるかで比べてください。
あとから条件が変わると言われました。
変更の内容と適用される時期を、書面かメッセージで残してください。契約書に変更の手続きがどう書かれているかも確かめます。納得できないまま同意する必要はありません。迷ったら消費生活センターに相談できます。
明細をもらえません。
自分の報酬がどう計算されたかを求めるのは当然のことです。求めても出てこない状態が続くなら、契約書と一緒に消費生活センターに相談してください。
- 比べるのは募集ページの数字ではなく、契約前に書面でもらえる答え
- 6項目:取り分の計算/期間と自動更新/やめるときの費用/アカウントの持ち主/専属の範囲/支払日と支払い方法
- 取り分は「何から・いつ・明細は出るか」。アプリの換金条件とは段階が違う
- 「0%」「全額還元」は収益源を聞く
- 費用の請求・書面を見せない・その場で署名を求める相手は外す
- 全社を同じ表に書き、はぐらかされた質問も記録する
書面の読み方は契約書チェックの8項目、専属の範囲は「専属」とは何を縛る言葉か、事務所の仕組みはライバー事務所とはにあります。
スカウトDMが来た、契約書を渡された、やめたいのに話が進まない。こういうときは、その場で決めないことがいちばん効きます。判断に困ったら聞いてください。
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