ライバー事務所の移籍|順番を間違えると、どちらにも所属できなくなる
移籍で失敗する人の多くは、順番を間違えています。「やめてから次を探す」のではなく、「次を踏まえて、やめる時期を決める」。この順番を逆にすると、身動きが取れなくなることがあります。
移籍で最初にやるのは、いまの契約書の「退所後の制限」を読むことです。ここに一定期間の制限があると、やめたあとすぐに次へ入れません。知らずに退所を伝えると、空白期間が発生します。
移籍の全体の流れ
- いまの契約書を読む期間・解約・退所後の制限の3箇所。ここが出発点です。
- 移籍先の条件を確認するまだ動かず、条件だけ聞きます。
- 両方を比べて、時期を決める更新月をまたがないように設計します。
- いまの事務所に伝える残る形で、希望日を書いて送ります。
- 退所の手続きを済ませる最後の報酬の締めも確認します。
- 移籍先と契約するここでようやく契約です。
1と2の順番が逆になっても構いませんが、4より前に1をやることだけは崩さないでください。
いまの契約書で見る3箇所
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 契約期間と更新 | いつまでか。自動更新か。更新をまたぐと、また同じ期間が始まります |
| 解約の申し出 | 「◯ヶ月前に」と書かれていることが多い。逆算が必要です |
| 退所後の制限 | 一定期間、同業への所属や同じアプリでの活動が制限されることがあります |
3行目を見落とすと、いちばん困ります。やめたあと、次に入れない期間が発生するからです。詳しくは退所したあとどうなるかにまとめました。
内容によっては、その条項自体が妥当かどうかという論点になります。納得できない場合は、契約書を持って消費生活センターに相談してください。言われるままに従う必要はありません。
移籍先に聞くこと
いまの事務所に不満があると、次を良く見てしまいます。ここで確認を省くと、同じことを繰り返します。
- 「移籍の場合、いつから所属になりますか」/制限期間があることを前提に聞きます。
- 「前の事務所とのやり取りに関与しますか」/関与する/しないは事務所によります。
- 「アカウントはそのまま使えますか」/ここが移籍でいちばん影響の大きい部分です。
- 「条件を書面でいただけますか」/口頭の約束は残りません。
- 「途中でやめる場合、何が必要ですか」/また同じ状況にならないために、先に聞きます。
最後の質問を嫌がる相手とは契約しないでください。やめ方を説明できることは、まっとうさの分かりやすい指標です。
アカウントはどうなるか
移籍の実務でいちばん大きい論点がここです。
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| 自分で作ったアカウント | 基本的に自分のものとして残ります |
| 事務所経由で作られたアカウント | 扱いが契約で決まっています。必ず確認 |
| 公式ライバーなどの認定枠 | 事務所を通した制度なら、いったん外れることがあります |
| フォロワー・ランク | アカウントが残るなら、そのまま残ります |
2行目に該当する場合、移籍の意味そのものが変わります。積み上げたものを失うなら、移籍する価値があるかを再検討してください。
移籍で失うもの・失わないもの
| 失わない | 失う可能性がある |
|---|---|
| あなたに来ているリスナー | 事務所経由の枠や企画 |
| 身についた進め方 | 認定枠などの制度上の立場 |
| 自分名義のアカウント | 事務所名義のアカウント |
| 配信の習慣 | 担当者との関係 |
左の1行目が本質です。リスナーは事務所ではなく、あなたに来ています。アカウントが残るなら、多くはそのまま来ます。
リスナーへの伝え方
- 「所属が変わりました」で十分/内部の事情は話さないでください。秘密保持の条項に触れることがあります。
- 前の事務所を悪く言わない/聞いている側が困ります。自分の印象も下がります。
- 配信の予定を伝える/これがいちばん大事です。「次は◯曜日から」。
- 空白期間があるなら、先に言う/黙って消えると、戻りにくくなります。
「今月から所属が変わりました。配信は◯曜日の◯時から、これまでどおり続けます。」これで十分です。理由も経緯も、話す必要はありません。
移籍する前に、もう一度考えること
移籍で解決する問題と、しない問題があります。
| いまの不満 | 移籍で解決するか |
|---|---|
| 担当者と合わない | ◯ 解決する可能性が高い |
| 条件が生活に合わない | ◯ 条件の違う事務所を選べば解決します |
| サポートがない | △ 次も同じとは限りません。事前に確認を |
| 収入が伸びない | × 事務所を変えても伸びません |
| 配信が続かない | × やり方と生活の設計の問題です |
下2つが移籍の理由なら、移っても同じことが起きます。その場合は配信がしんどいときやリスナーの増やし方のほうが役に立ちます。
ここまで読んで、自分のケースが判断できないと感じたら、LINEで聞いてください。
LINEで相談する移籍の時期を設計する
同じ内容でも、伝える時期で条件が変わります。カレンダーに置いて考えてください。
| 見るところ | 理由 |
|---|---|
| 更新月 | またぐと、また同じ期間が始まります。ここが最も金額に効きます |
| 解約の申し出期限 | 「◯ヶ月前に」から逆算します |
| 報酬の締め日 | 締め直後に伝えると、最後の1ヶ月の扱いが分かりやすい |
| 制限期間の長さ | 空白が出るなら、その間の活動をどうするか決めておく |
| イベントの時期 | 期間中は話が後回しにされやすい |
制限期間があって空白が出る場合、その間は個人で続けるという選択もあります。配信そのものを止める必要はありません。
移籍先を見極める
いまの事務所に不満があるほど、次を良く見てしまいます。冷静に見るための質問を並べます。
- 所属者が実際に活動しているか/公式サイトの所属者を検索する。更新が止まっているなら、その事務所は動いていません。
- デメリットを説明できるか/「向いていない人はどういう人ですか」に答えられるか。
- 費用を請求されないか/されたら、その時点で終わりです。
- 持ち帰る時間をくれるか/急がせる相手は避けて構いません。
- 前の事務所の悪口を言わないか/言う相手は、次はあなたのことを言います。
最後の項目は、移籍のときにだけ分かる指標です。他社を落として自社を上げる相手は、信用の置き方が分かりません。
移籍しない、という選択
不満があるとき、選択肢は「移籍」だけではありません。
- 担当者を変えてもらう/人が合わないだけなら、これで解決することがあります。言ってみる価値はあります。
- 条件を交渉する/頻度や時間の条件は、相談できる場合があります。
- 個人に戻る/次を探さずに、いったん個人で続ける。個人と事務所の比較へ。
- いまは動かない/更新月まで待つほうが、条件が良くなることもあります。
移籍は手間がかかります。それに見合う改善があるかどうかを、先に確かめてください。
移籍したあとにやること
- 最後の報酬が入ったか確認する前の事務所の締めと支払日。入るまでは連絡手段を切らないでください。
- 新しい条件を書面で確認する口頭で聞いた内容と、書面が一致しているか。
- 配信のペースを戻す手続きの期間に空いたぶん、短くていいので早めに再開します。
- 前の事務所の話をしない聞かれても「所属が変わりました」で十分です。
退所と同時にグループから外されると、最後の報酬の確認ができなくなることがあります。担当者の個別の連絡先を、退所前に確保しておいてください。
声をかけられた移籍は、判断が甘くなります
移籍には2つの入り口があります。自分から移籍先を探す場合と、よその事務所から「うちに来ませんか」と声をかけられる場合です。手順は同じでも、判断の質はまるで違います。
| 自分から探す | 声をかけられる | |
|---|---|---|
| 比較対象 | 複数を並べて選べる | その1社しか見ていない |
| 時期 | 自分の契約に合わせて決める | 相手のペースで進む |
| 気持ち | 不満が出発点で、冷静 | 「選ばれた」で評価が上がる |
効いているのは3行目です。声をかけられると、相手を見極める前に「認められた」という気持ちが先に立ちます。この状態では、自分から探すときなら必ず聞くはずの質問を、飛ばしてしまいます。
- 自分から探すときと同じ手順に戻す/事務所の選び方の質問を、声をかけてきた相手にもそのまま使います。
- ほかの事務所とも比べる/勧誘された1社だけを見ていると、その条件が普通なのか判断できません。
- 好条件の数字は分母を聞く/勧誘の場面ほど、数字は良く見せられます。「100%還元」のからくりの質問がそのまま使えます。
- 時期は自分の契約から決める/「今月中に」と急かされても、動く時期を決める根拠はいまの契約書のほうにあります。
声をかけられたこと自体は、悪い話ではありません。ただし、選ばれた側でも、選ぶのはあなたです。この一点だけ、手放さないでください。
移籍の話は、準備が整うまで広げない
事務所同士は同じアプリのイベントや企画で顔を合わせ、担当者は事務所を移り、ライバー同士も横でつながっています。移籍の話は、思っているより早く、思っていない経路で伝わります。
準備が整う前に話が漏れると、次のことが起きます。
- いまの事務所に、人づてに伝わる/自分の言葉で伝える前に知られると、話が引き止めや詮索から始まってしまいます。
- 契約書を確認する前に、話し合いが始まる/退所後の制限や時期の設計が済んでいない段階で交渉に入ると、こちらに材料がありません。
- 移籍先が話を保留にすることがある/揉め事の気配がある相手との契約を、事務所は避けたがります。
漏れる経路は、だいたい決まっています。同じ事務所のライバー仲間への相談、リスナーへのそれとない匂わせ、SNSの「近いうちに報告があります」。どれも悪意がなくても伝わります。
- 相談相手は事務所の外で選ぶ/同じ事務所の仲間は、事務所に聞かれれば答える立場になります。
- リスナーに匂わせない/伝えるのは、決まってからで十分です。先に匂わせても、良いことは何もありません。
- 正式に伝えるのは、必ず自分から/準備が整ったら、記録が残る形で伝えます。伝え方は事務所のやめ方にまとめました。
隠し事をしろという話ではありません。順番の話です。伝える準備が整ってから、自分の言葉で伝える。それだけで、移籍の後味は大きく変わります。
よくある質問
移籍先が「うちが話をつけます」と言っています。
やり取りは自分でも把握してください。任せきりにすると、何がどう決まったか分からなくなります。記録は自分でも残しておくこと。
退所を伝える前に、移籍先と契約してもいいですか?
おすすめしません。二重に所属している状態になり、どちらの契約にも違反する可能性があります。順番を守ってください。
引き止められています。
条件を良くすると言われたら、書面で出してもらってください。口頭の約束は残りません。それでも納得できないなら、予定どおり進めて構いません。
制限期間があると言われました。
契約書のどこに書いてあるかを確認してください。書いていないものは、言われただけでは発生しません。
個人に戻るという選択もありますか?
あります。事務所がないと配信できないわけではありません。判断材料は事務所に入るべきかにまとめました。
移籍したことは公表すべきですか?
義務はありません。「所属が変わりました」程度で十分です。詳しく話すほど、話がこじれます。
移籍のあと、リスナーは減りますか?
アカウントが残るなら、多くはそのまま来ます。減るとしたら、空白期間が長かった場合です。短くていいので早めに再開してください。
移籍先から「すぐ来てほしい」と言われています。
急がせる相手は、それだけで注意してください。制限期間の確認を飛ばすと、こちらが契約違反を問われる立場になります。
1年以内に2回移籍するのは印象が悪いですか?
回数より、やめ方が丁寧かどうかのほうが見られます。手続きを踏んでいれば問題ありません。
同じアプリ内での移籍でも制限はありますか?
契約によります。「同じアプリでの活動を制限」という条項があると、アプリごと変える必要が出ることもあります。必ず先に確認してください。
移籍を検討中だと、いまの事務所に伝えるべきですか?
伝える義務はありません。条件が固まる前に言うと、話が複雑になります。準備が整ってから、退所の申し出として伝えてください。
- 順番が命。やめてから探すのではなく、次を踏まえて時期を決める
- 最初に読むのはいまの契約書の「退所後の制限」
- 移籍先にはいつから所属になるか・アカウントの扱い・やめ方を聞く
- 事務所名義のアカウントなら、移籍の意味そのものが変わる
- リスナーには「所属が変わりました」で十分。内部事情は話さない
- 収入が伸びない・続かないは、移籍では解決しない
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