大人の趣味に「歌」を選ぶ|ひとりで完結しない趣味の価値
大人になってから趣味を始めようとすると、意外と選択肢が絞られます。道具にお金がかかる、場所が要る、時間がまとまって必要——このあたりで多くが脱落します。
その中で、歌はかなり条件が緩い趣味です。ここではその理由と、実際の始め方を整理します。
歌が趣味として続きやすい理由
| 条件 | 歌の場合 |
|---|---|
| 道具 | 要らない(体だけ) |
| 場所 | 家でも、カラオケでも、車の中でも |
| まとまった時間 | 10分でも成立する |
| 初期費用 | ほぼゼロ |
| 体力 | 年齢の影響が比較的小さい |
| やめても損しない | 買ったものが無駄にならない |
最後の行が地味に大きいです。始めるハードルが低いということは、やめてもダメージがないということでもあります。気軽に試せます。
「うまくなる実感」が得やすい
大人の趣味が続かない理由でいちばん多いのが、上達が感じられないことです。
歌には、この点で利点があります。
- 録音すれば変化が分かる/スマホで録るだけです。1ヶ月前と比べると、自分でも驚くほど違います。
- 1曲単位で完結する/「この曲が歌えるようになった」という区切りが作れます。
- 点数という指標がある/カラオケの採点は、目安としては分かりやすい基準です。
- 変化が早い/息の使い方や姿勢を変えるだけで、その日のうちに音が変わることがあります。
今の自分の歌を、スマホで1曲録音してください。聴くのは嫌かもしれませんが、これが基準になります。1ヶ月後に同じ曲を録ると、変化がはっきり分かります。この1回があるかないかで、続くかどうかが変わります。
ひとりで完結しない、という価値
ここが、大人の趣味として歌を選ぶいちばんの理由かもしれません。
読書も、ゲームも、運動も、ひとりで完結できます。それは気楽な反面、誰とも関わらない時間が増えるということでもあります。
歌は、聴く人がいると意味が変わります。
- カラオケに誰かと行く/いちばん手軽な形です。
- 教室に通う/先生という聴き手がいて、同じ目的の人がいます。
- 配信で歌う/家にいながら、聴いてくれる人がいる形です。
- 発表の場に出る/目標があると、練習の意味が変わります。
とくに40代以降になると、仕事と家庭以外の場所を作るのが難しくなります。歌は、その場所を作る口実になります。
始め方の選択肢
| 方法 | 費用 | 人と関わるか | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 家でひとりで歌う | ゼロ | 関わらない | まず気軽に始めたい |
| ひとりカラオケ | 小 | 関わらない | 思い切り声を出したい |
| 誰かとカラオケ | 小 | 関わる | 楽しさが目的 |
| ボイストレーニング | 中 | 関わる | ちゃんと上達したい |
| 配信で歌う | ほぼゼロ | 関わる | 家から出ずに聴き手が欲しい |
順番としては、上から試していくのが自然です。いきなり教室や配信を考えると重くなります。まず家で1曲録音するところからで十分です。
「音痴だから」と思っている人へ
この理由で諦めている人はとても多いのですが、実際には自分で思っているほど外れていないことがほとんどです。
よくある原因は、次のようなものです。
- キーが合っていない/原曲キーで歌おうとして、出ない音を無理に出している。キーを下げるだけで、別人のように聞こえることがあります。
- 自分の声が聞こえていない/伴奏が大きすぎると、音程を取れません。
- 息が足りていない/声を支える息が続かず、音程が下がります。
- 単に慣れていない/人前で歌う機会がなかっただけ、というケースは多いです。
とくに1つ目です。原曲キーにこだわる理由は、どこにもありません。自分が余裕を持って出せる高さで歌うほうが、聴く側にとっても心地よく聞こえます。
どのくらいで変化を感じるか
期待値がずれていると、続く前にやめてしまいます。目安を書いておきます。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 最初の1回 | 録音を聴いて落ち込む。全員が通る場所です |
| 数日 | 姿勢や息を意識すると、その場で少し変わる |
| 2〜4週間 | キーを合わせると別人のように聞こえる曲が出てくる |
| 3ヶ月 | 録音を比べると、はっきり違いが分かる |
| 半年〜 | 歌える曲の幅が広がる |
1行目でやめる人がいちばん多いです。自分の録音を聴いて嫌になるのは、上達とはまったく関係のない反応です。ほぼ全員がそうなります。
そして3行目。キーを変えるだけで結果が変わる曲は、実際にあります。これは技術ではなく選び方の問題なので、今日からできます。
大人だからこその難しさ
良い面だけでなく、正直に書いておきます。
- 恥ずかしさが強い/子どもより、大人のほうが人前で歌うことに抵抗があります。ここは慣れるしかありません。
- すぐには変わらない/体の使い方の話なので、数日では変化しません。3ヶ月単位で考えてください。
- 比べてしまう/うまい人と比べると、始めたばかりの自分が嫌になります。比べるなら1ヶ月前の自分にしてください。
- 時間が取れない/仕事と家庭がある年代です。10分でいい、と決めておくほうが続きます。
続けるための現実的な設計
- 1曲だけ決める好きな曲を1曲。あれもこれもやろうとすると続きません。その曲が歌えるようになることを最初の目標にします。
- 録音を残す始める日に1回、以降は月に1回。比較できる記録があると、続ける理由になります。
- 10分でいいと決めるまとまった時間を待つと、永遠に始まりません。通勤中に口ずさむだけでも構いません。
- 聴いてくれる人を作る家族でも、カラオケの相手でも、配信のリスナーでも。ここがあると、続く確率が変わります。
- 3ヶ月続けてから振り返るそれより短い期間では、変化は分かりません。
「うまくなること」だけが目的ではない
最後に、少し違う角度の話をします。
歌を趣味にする人の多くは、最初「うまくなりたい」と言います。ただ、続いている人の話を聞くと、理由が変わっていることがよくあります。
- 声を出すと気分が変わる/深く息を吸って声を出すこと自体に、気持ちを切り替える働きがあります。
- その時間だけ何も考えない/歌っている間は、仕事のことを考えられません。
- 誰かと共有できる/同じ曲が好きな人と話が合う、というだけで十分な理由になります。
- 新しくできることが増える/大人になると減っていく経験です。
だから、うまくならなくても続ける価値はあります。上達を目標にすると苦しくなる人もいるので、そのときは目的を置き換えてみてください。
「今月も歌えた」で十分です。続いていること自体が、結果として上達につながります。
よくある質問
何歳からでも始められますか?
始められます。体の使い方の話なので、年齢による限界はあっても、今より良くなる余地は必ずあります。とくに息の使い方は、意識するだけで変わります。
家で歌うと近所迷惑になりませんか?
大きな声を出さなくても練習にはなります。息の使い方、姿勢、口の開き方。声を出さない練習も存在します。思い切り歌いたいときはカラオケや車の中を使ってください。
教室に通ったほうが早いですか?
早いです。自分では気づけないことを指摘してもらえるのが最大の価値です。ただし費用も時間もかかるので、まず自力で3ヶ月やってみてから考えても遅くありません。
配信で歌うのはハードルが高いです。
最初は誰でもそうです。ただ顔を出さずに歌えるアプリもあります。家から出ずに聴いてくれる人ができる、という意味では効率的な選択肢です。顔出しなしで配信できるアプリを参考にしてください。
歌がうまくなると、何かいいことがありますか?
上達そのものより、「できることが増えていく感覚」のほうが大きいと思います。大人になると、新しく何かができるようになる経験は減ります。そこに価値があります。
- 歌は道具も場所も要らず、10分でも成立する。大人の趣味として条件が緩い
- 録音すれば変化が分かる。始める日に1曲録っておく
- ひとりで完結しないのが最大の価値。聴く人がいると意味が変わる
- 「音痴だから」の多くはキーが合っていないだけ
- すぐには変わらない。3ヶ月単位で考える
- 1曲だけ決める。あれもこれもやろうとすると続かない
歌える配信の話はカラーシングとポコチャの違い、40代からの始め方はこちらにまとめています。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
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