オーディオインターフェースは配信に必要か|要る人・要らない人の切り分け
マイクについて調べていると、「オーディオインターフェース」という長い名前の機械が出てきます。「配信するなら必要」と書いてあるページもあれば、機材一式の写真には必ずと言っていいほど写っている。だんだん、買わないといけない気がしてきます。
先に言い切ります。多くの配信者には要りません。この記事では、そもそも何をする機械なのか、要るのはどんな場合か、買うと何が増えるのかを順番に説明します。すでに持っているのに使いこなせていない人向けの点検手順も、後半に用意しました。
オーディオインターフェースが要るのは、①XLRマイクを使う場合 ②複数の音を混ぜる場合の2つだけです。どちらにも当てはまらないなら、買わなくて構いません。迷っているなら、まだ要らない側です。
そもそも何をする機械なのか
ひとことで言うと、マイクの音を、パソコンやスマホが扱える形に直す機械です。
マイクが拾った声は、そのままではとても弱い電気の波です。パソコンやスマホは、この波を数字の列に直さないと受け取れません。その「直す」仕事をするのがオーディオインターフェースです。マイクと配信機器のあいだに立つ、通訳のような位置づけだと考えてください。
変換のほかに、次の仕事もします。
- 音量の調整/マイクの音の大きさを、手元のつまみで上げ下げできます。
- 電気の供給/マイクの種類によっては、動くための電気を送ってやる必要があります。その送り役です。
- 自分の声の確認/ヘッドホン端子があり、自分の声をその場で聞けます。
多くの配信者に要らない理由
理由は単純です。USBマイクにもイヤホンマイクにも、同じ変換機能がすでに内蔵されているからです。スマホの内蔵マイクも同じです。
つまり、いまスマホやUSBマイクで配信できているなら、変換の仕事はもう済んでいます。同じ役割の機械をあとから1台足しても、やることが増えるだけで、音の仕事は増えません。
接続方式の話はUSBとXLRの違いで詳しく書きましたが、「オーディオインターフェースが要るか」は、実質的には「XLRマイクを使うか」とほぼ同じ質問です。XLRマイクは変換機能を持っていないので、この機械が必ず必要になります。
要る場合・要らない場合の切り分け
| 状況 | 要るか |
|---|---|
| スマホの内蔵マイク・イヤホンマイクで配信 | 要りません |
| USBマイクで配信 | 要りません(変換は内蔵済み) |
| XLRマイクを使いたい | 要ります |
| 2人以上で、マイクを複数つなぐ | 要ります |
| 楽器の音とマイクの音を同時に流す | 要ります |
| 歌配信で、音量を手元で細かく調整したい | あると楽になります(必須ではありません) |
上の2行に当てはまる人が、配信者の大半です。雑談中心・ひとり・スマホかUSBマイクという構成なら、この機械の出番はありません。
「音が良くなるから買う」は順番が逆です
買う動機として一番多いのが「音が良くなりそうだから」です。ですが、配信の聞き取りやすさを決めているのは、マイクと口の距離、部屋の響き、生活音の3つです。この3つは、機械を足しても1つも直りません。
変換の質による細かい差は、配信アプリで圧縮されて視聴者に届くころには、ほとんど聞き分けられなくなります。順番としては、まず置き方と部屋を直す。次にマイク。オーディオインターフェースを検討するのは、その先です。置き方の直し方はマイクの選び方にまとめてあります。
買うと増える手間
買えば終わり、ではありません。増えるものを先に知っておいてください。
- 設定する場所が2つになる/アプリ側の設定に加えて、本体のつまみとスイッチが加わります。音がおかしいとき、どちらが原因か分からなくなります。
- 配線が増える/マイクのケーブル、本体とパソコンをつなぐケーブル、機種によっては電源。抜けかけの1本で音は止まります。
- トラブルの切り分け箇所が増える/音が出ないとき、疑う場所がマイク・ケーブル・本体・設定・アプリと増えます。
- 机の場所と電源を取られる/小さくても常設の機材です。片付けるたびに配線をやり直すなら、その手間も毎回かかります。
特に3つ目が実務では重くのしかかります。配信直前に音が出なくなったとき、確認する箇所が多いほど復旧は遅れます。必要がないのに足すと、この負担だけを背負うことになります。
歌を配信する場合には効きます
逆に、はっきり効く場面もあります。歌の配信です。
歌は、ささやく部分と張り上げる部分で音量の差がとても大きい。アプリの設定画面を開かなくても、手元のつまみでその場で音量を調整できるのは、曲の合間にも触れるという意味で実用的です。
もうひとつ、自分の声を遅れずにヘッドホンで聞ける仕組みも効きます。機種によって「ダイレクトモニター」などと呼ばれる機能で、変換を通す前の音をそのままヘッドホンに返してくれます。アプリ経由で自分の声を聞くと、わずかに遅れて届いて歌いにくいのですが、この機能ならその遅れがありません。
それでも、最初の1台として必須ではありません。歌配信アプリの記事に書いたとおり、まずスマホで始めて、調整に不満が出てから検討する順番で十分です。
選ぶときに見る4つの点
検討する段階まで来た人は、次の4つだけ確認してください。機種の細かい比較より先に、ここでほとんど絞れます。
- 入力の数/マイク1本なら1つで足ります。2人で話す、楽器も混ぜるなら、その数だけ必要です。将来の「使うかもしれない」で増やさないでください。
- スマホで使えるか/スマホで配信するなら最重要です。対応をうたっていても、変換アダプタが別に必要な場合があります。自分のスマホの端子の形まで確認してください。
- 電源をどこから取るか/パソコンから取る機種と、コンセントが必要な機種があります。スマホにつなぐ場合、スマホからの電気だけでは足りずに動かないことがあります。
- ヘッドホン端子があるか/自分の声をその場で確認するために使います。歌うなら必須と考えてください。
つまずきどころ①:音が入らない
買ったあとで最も多いのがこれです。あわてずに、順番に確認してください。
- アプリの入力を切り替える配信アプリや録音アプリの設定で、入力にオーディオインターフェースを選びます。つないだだけでは切り替わりません。
- 入力つまみを上げるゲイン(=入力音量のつまみ)が絞られたままになっている場合があります。声を出しながら、ランプやメーターが反応する位置まで上げます。
- マイクへ送る電気を確認する「48V」などと書かれたスイッチです。コンデンサーマイク(動くのに電気が必要な種類のマイク)は、これを入れないと音が出ません。
- ケーブルを挿し直す両端とも、奥まで挿します。半挿しでも、見た目は挿さっているように見えます。
つまずきどころ②:遅れて聞こえる
自分の声が、ヘッドホンからわずかに遅れて聞こえる症状です。原因は、音がパソコンの中まで行って戻ってくる往復の時間です。
対処は2つあります。ひとつは、本体のダイレクトモニターで自分の声を聞き、アプリ経由で聞くのをやめること。このときアプリ側の「自分の声を返す」設定は切ってください。両方から聞こえると、二重に響きます。
もうひとつは、設定に「バッファ」(=処理を一時的にためておく量)という項目があれば、小さくすることです。ただし小さくしすぎると音がブツブツ途切れるので、途切れない範囲で止めてください。
つまずきどころ③:ノイズが乗る
| 症状 | まず見るところ |
|---|---|
| 「サー」という音が常に鳴る | 入力つまみの上げすぎ。下げて、マイクに近づいて話す |
| 「ブーン」という低い音 | 電源まわり。コンセントの場所を変える、ケーブルを電源コードから離す |
| 音がブツブツ途切れる | パソコンの処理が追いついていない。他のアプリを閉じる、バッファを大きくする |
| ケーブルを触るとガリガリ鳴る | 接触不良。挿し直す、別のケーブルで試す |
1行目がいちばん多いパターンです。つまみを上げて遠くから話すより、つまみを下げて近くで話すほうが、声は大きくノイズは小さくなります。これはどのマイクでも共通の原則です。
持っているのに使いこなせていない場合の点検手順
「買ったはいいが、正しく使えているか分からない」という人は、次の手順で一度だけ点検してください。10分で終わります。
- 声を出して、本体のランプやメーターを見る普段の声量で話して反応するか。反応しないなら、アプリ以前に本体まで音が届いていません。「音が入らない」の手順に戻ってください。
- ヘッドホンを本体に挿して、自分の声を聞くここで聞こえれば、本体までは正常です。原因はこの先にあります。
- アプリの入力設定を開く内蔵マイクのままになっている例が本当に多いです。せっかくの機材を素通りして、パソコンのマイクで配信していた、という状態です。
- 1分録音して聞き返す音量は適切か、割れていないか、ノイズはないか。聞かないと分かりません。
- つまみの位置を写真に撮る正しく鳴る位置が決まったら記録します。次に音がおかしくなったとき、戻る場所になります。
それでも迷う場合の考え方
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| まだ配信を始めていない | 買いません。手持ちのスマホで始めます |
| スマホかUSBマイクで配信中、音に不満なし | 買いません。いまの構成で完結しています |
| 音に不満がある | 先に置き方と部屋、次にマイク。この機械は最後です |
| XLRマイクを使うと決めた | マイクとセットで買います |
| 複数の音を混ぜる予定が具体的にある | 必要な入力の数を数えてから買います |
3行目を飛ばさないでください。順番を間違えると、効果の薄いものから先に揃っていきます。機材全体をどの順番で足すかは配信機材まとめに書きました。
よくある質問
USBマイクにオーディオインターフェースをつなげば、音が良くなりますか?
つなげません。USBマイクは変換まで自分で済ませる設計なので、あいだに挟む場所がないのです。組み合わせとして成立しません。買っても使えないので注意してください。
ミキサーとは違うものですか?
役割が重なる部分はあります。ミキサーは「複数の音を混ぜて音量のバランスを取る」のが主な仕事で、配信向けの製品には両方の機能を持つものも多く、境目はあいまいです。「要る・要らない」の判断は、この記事の切り分けがそのまま使えます。
スマホだけで配信しています。買えば音は良くなりますか?
ほとんど変わりません。先に効くのは、マイクと口の距離と部屋の響きです。そこを直しても不満が残るなら、次はマイクです。この機械はさらにその先です。
「48V」のスイッチは、入れたままで大丈夫ですか?
マイクを抜き挿しするときは切っておくのが基本です。操作の前にヘッドホンの音量を下げておくと、大きな音で驚かずに済みます。細かい扱いは説明書の指示に従ってください。
歌配信をするなら必須ですか?
必須ではありません。まずスマホとアプリで始めて、音量調整に不満が出てから検討する順番で十分です。買うとしたら、手元調整と遅れない声の確認という利点がはっきり効きます。
配信者の機材写真にはたいてい写っています。みんな使っているのでは?
写真に写りやすい機材ではあります。ただ、その人の構成に必要かどうかと、自分に必要かどうかは別の話です。XLRマイクや複数入力を使っている人には必要で、そうでないなら要りません。
中古でもいいですか?
つまみや端子の状態を確認できるなら選択肢になります。ただし初めての1台は、不調の原因が中古由来なのか設定なのか切り分けにくくなるので、新品のほうが楽です。
- 要るのはXLRマイクを使う場合と、複数の音を混ぜる場合の2つだけ
- USBマイク・イヤホンマイク・スマホには変換機能が内蔵済み。足しても仕事は増えない
- 聞き取りやすさは距離・部屋・生活音で決まる。機械では直らない
- 買うと設定・配線・トラブルの切り分け箇所が増える。必要がないなら負担だけが残る
- 歌配信では手元の音量調整と、遅れない自分の声の確認が効く
- 持っている人は本体のメーター→ヘッドホン→アプリの入力選択の順で点検する
マイクそのものの選び方はマイクの選び方、USBとXLRの違いは接続方式の記事、買い足す順番の全体像は配信機材まとめをどうぞ。
始める前につまずきやすいのは、アプリ選びと事務所選びの2つです。どちらも、決めてから気づくと戻るのが大変なところです。
事務所選びを読む身バレ、確定申告、荒らし、続かない。配信を始めてから出てくる困りごとは、調べても答えが出ないものが多いです。
LINEで相談する